住宅木材に影響する「木材腐朽菌」
木造住宅はもちろんのこと、鉄筋コンクリートの住宅においても多くの箇所で使用されている木材。
木材を劣化させないためにはシロアリだけでなく、木材腐朽菌にも気をつける必要があります。
木材腐朽菌
木材腐朽菌は、木材を腐らせる菌のこと。シイタケやシメジなどの食用のキノコも分類状はこの菌と同じ仲間です。
木材の主成分であるセルロール、ヘルセルロース、リグニンを分解する木材腐朽菌。
繁殖すればするほど木材は腐り、建物の強度は低下してしまいます。
種類
発生する場所と原因
■木材腐朽菌が発生しやすい場所
木材腐朽菌は繁殖する際に適度な水分を必要とするため、湿度が高い場所の木材に発生しやすいと言われています。
浴室や台所といった水まわりはもちろん、通気や換気がしにくく地面の水分の蒸発により湿度が高くなりやすい床下も発生しやすい場所の一つです。
雨漏りの起きやすい屋根裏周辺や、ひび割れや配管の老朽化により水漏れが起きた場所の周辺、雨どいや結露しやすい場所の周辺にある木材は湿気を多く含んでいる可能性が高く、そのような場所は菌が発生しやすい環境であるといえます。
■木材腐朽菌が発生する原因
木材腐朽菌の発生には、栄養・温度・水分・空気の4つの発生条件がそろう必要があります。
逆にひとつでも条件を欠くと、木材腐朽菌は活性化しません。
特に床下がコンクリートではなく土壌の場合は水分量が多くなりやすいため、床下換気扇を設置し、空気の通りをつくるのも効果的です。
まず、木材腐朽菌は、木材の主成分セルロース・ヘミセルロース・リグミンを栄養源とし、
3~45℃の環境で発育します。なかでも30℃前後が最も発育に適しており、3℃以下の環境では発育しにくくなります。
また、大気中の湿気が多く木材の含水率が20%以上になると発生しやすくなり、20%を下回ると発生しにくくなります。
さらに空気がないところでは発生しません。
例えば、水中に浸かった木材が腐朽することはありません。
木材腐朽菌とシロアリの関係
木材腐朽菌とシロアリの発生条件は共通するところが多いため、シロアリによる被害と木材腐朽菌による被害が同時進行するケースは少なくありません。
そのため、木材腐朽菌が発生しないように予防を行うことはシロアリの予防にもつながるといえます。
木材腐朽菌を予防するには
①木材を湿らせない
木材腐朽菌は、水分を多く含んだ木材に発生しやすいため、木材を湿らせないことが予防につながります。
水漏れが起きるとその付近に木材に菌が発生しやすくなるため、老朽化した配管がないか確認し、水漏れを
事前に回避しましょう。
同じように、屋根裏など普段目につかない場所に雨漏りがないか、木材のひび割れが起きていないか確認し、
修繕を行うことも予防につながります。
結露によっては知らずのうち木材が水分を多く含んでいることもあります。
床下も換気をして乾燥させましょう。
②換気
床下や屋根裏は普段目にすることがない上に、湿気を多く含みやすい密閉された空間です。
湿気が多くなると木材の含水率は高くなり、木材腐朽菌が発生しやすくなります。
湿気が多くならないように換気を行うことが欠かせません。特に水回りは床下は意識する必要があります。
換気のため床下換気扇を取り付けることも有効です。床下の状況に適した換気を行いましょう。